G.5.1 プレート要素とシェル要素
プレート(またはシェル)有限要素は、ハイブリッド要素の式に基づいています。要素は、3-ノード(3角形)、または4-ノード(4角形)が可能です。四角形要素の4つすべてのノードが1つの平面上にない場合、三角形要素としてモデル化することをお勧めします。あるノードの要素の厚さを、他のノードの暑さと異なるものにすることができます。
壁、スラブ、プレート、およびシェルのような"サーフェス構造"は、有限要素を使用してモデル化することができます。広い領域内にあるプレート/シェル要素の良好なメッシュを生成するために、MESH GENERATION機能が利用できます。詳細については、「TR.14 プレート要素メッシュの生成」を参照してください。
ユーザーは、PLANE STRESS操作のみ(つまり、膜/面内剛性のみ)に対して要素も使用できます。ELEMENT PLANE STRESSコマンドを、この目的のために使用する必要があります。
幾何形状モデル化において考慮する点
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プログラムは、架空の中心ノード"0"(次の図参照)を要素の中心に自動的に作成します。
架空の中心ノード(三角形要素の場合は4番目のノード、矩形要素の場合は5番目のノード)
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ノードを入力データ内のある要素に割り当てる際、ノードは、時計回りまたは反時計回りのいずれかで設定する必要があります(下図参照)。効率化のためには、類似の要素は連続的な番号付けを行う必要があります。
正しい番号付け順序と正しくない番号付け順序の例
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要素のアスペクト比は大きくし過ぎてはいけません。アスペクト比は1:1のオーダーにする必要があり、4:1より小さいことが理想です。
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個々の要素はゆがんでいてはなりません。2つの隣り合う要素間の角度は、90より大幅に大きくせず、180を超えない必要があります。
基礎理論
想定応力分布
不完全な2次の想定応力分布:
- a1~a10 = 応力多項式の定数
次の2次応力分布がプレートの曲げ操作に対して仮定されます。
曲げに対して想定した2次の応力分布:
不完全な2次の想定応力分布:
- a1~a13 = 応力多項式の定数
この有限要素の特徴は次のようになります。
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ある要素の平面応力成分と、そこからある角度にある隣接要素(下図参照)のプレート曲げ成分間の変位の適合性は、それらの要素で達成されます。この適合性の要求は、通常ほとんどの平面シェル/プレート要素で無視されます。
ある角度で隣接する要素
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各要素の平面応力からの面外回転剛性は効果的に取り込まれており、広く利用されているほとんどの商用ソフトウェアでなされているように、ダミーとして処理されていません。
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先に述べた回転剛性を取り込まなくても、要素は確実にパッチテストを満足します。
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これらの要素は、コーナーにのみノードを持ち、各ノードが6自由度を持つ3角形要素、4角形要素として利用できます。
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これらの要素は、コーナーにのみノードを持ち、各ノードが6自由度を持つ平面シェル/プレート要素の最も簡単なフォームです。しかし、サンプルの問題に対するソリューションは、大きなメッシュサイズでも、正確な回答に迅速に収束します。
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これらの要素は、完全に変位の適合性を保って、平面/立体フレームのメンバーに接合することができます。追加の拘束/リリースは必要ありません。
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面外せん断ひずみエネルギーは、プレート曲げ成分の式に取り込まれています。結果的に、要素は、通常のキルヒホフの境界条件よりも正確であると考えられるポアソンの境界条件に対応します。
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プレートの曲げは厚板と薄板を扱うことが可能であり、それ故、プレート要素は多様な問題へと利用が拡張されます。さらに、プレートの厚さは面外せん断の計算時に考慮されます。
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平面応力3角形は、よく知られた線形応力3角形とほぼ同じように振る舞います。大部分の類似した3角形の平面シェル要素は、収束率が非常に遅い一定応力3角形です。故に、三角形シェル要素は、四辺形要素が適さない2つの曲率を持つ問題に非常に有用です。
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ノードと要素内の任意点での応力の取得。
プレート要素の応力とモーメントの出力
ELEMENTの応力とモーメントの出力は、次の位置で得ることができます。
- 要素の中心点
- 要素のすべてのコーナーノード
- 要素内の任意のユーザー設定点
次の項目がELEMENT STRESSの出力に含まれます。
タイトル | 説明 |
---|---|
SQX, SQY | せん断応力(力/単位長さ/厚み) |
SX, SY | 膜応力(力/単位長さ/厚み) |
SXY | 面内せん断応力(力/単位長さ/厚み) |
MX, MY, MXY |
単位幅あたりモーメント(力×長さ/長さ) (Mxの場合、単位幅は、ローカルY軸に平行な単位距離です。Myの場合、単位幅は、ローカルX軸に平行な単位距離です。MxとMyは、曲げを生じ、一方Mxyは要素に面外のねじりを生じます) |
SMAX, SMIN | 要素の面内での主応力(力/単位面積)。3番目の主応力は0.0 |
TMAX | 要素の面内での最大2Dせん断応力(力/単位面積) |
VONT, VONB |
上面と下面での3Dミーゼス応力。ここで、 VM = 0.707[(SMAX - SMIN)2 + SMAX2 + SMIN2]1/2 |
TRESCAT, TRESCAB | トレスカ応力。ここで、TRESCA = MAX[ |(Smax-Smin)| , |(Smax)| , |(Smin)| ] |
注記
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すべての要素応力の出力はローカル座標系で行われます。要素応力の方向と向きの説明は次のセクションにあります。
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要素内の特定の点での要素応力を得るには、その要素の座標系での位置(ローカルX、ローカルY)をユーザーが与える必要があります。ローカル座標系の原点は要素の中心と一致します。
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サーフェスでの2つの非ゼロの主応力(SMAXとSMIN)、最大2Dせん断応力(TMAX)、主応力の2D方向(ANGLE)、3Dのミーゼス応力(VONTとVONB)、および3Dのトレスカ応力(TRESCATとTRESCAB)は、要素の上面と下面に対しても出力されます。上面と下面はローカルz-軸の方向に基づいて決定されます。
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3番目の主応力は、ミーゼスとトレスカの応力計算での使用に対しては、サーフェスでゼロになると仮定されます。ただし、TMAXとANGLEは、サーフェスでの2D面内応力(SMAXとSMIN)のみに基づいています。サーフェスでの3D最大せん断応力は計算されませんが、3Dのトレスカ応力の半分に等しくなります。
プレート要素の応力とモーメントの符号規則
次の図で使用されている命名法の定義については、「TR.42 出力の設定」を参照してください。
プレートの応力とモーメントの符号規則
プレート曲げの符号規則
Mxはローカルx面の曲げモーメントで、ローカルx面はローカルx軸に垂直な面です。
Myはローカルy面の曲げモーメントで、ローカルy面はローカルy軸に垂直な面です。
Mxに起因する応力
Myに起因する応力
ねじり
膜応力SxおよびSy
面内せん断応力SxyおよびSyx
面外せん断応力SQXおよびSQY
メンバー、プレート要素、ソリッド要素、およびサーフェス要素はすべて、単一のSTAADモデルの一部であることが可能です。MEMBER INCIDENCESの入力は、プレート、ソリッド、またはサーフェスに対するINCIDENCEの入力よりも前にある必要があります。すべてのINCIDENCEは、プロパティ、定数、リリース、荷重などのような他の入力よりも前にある必要があります。有限要素の自重は接合ノードでジョイント荷重に変換され、要素圧力荷重としては使用されません。